構造

英知・技の結集

世界唯一の構造

 世界中、どこを探しても、錦帯橋と同じ構造の木造アーチ橋は存在しません。

 石造りなら、「アーチ式石橋」があります。7世紀初頭、中国の隋で造られた「安済橋」は、縦長の輪石(アーチ型の石)を金属によって繋ぎ、密着させて、頑強なアーチ構造を実現しています。

 一方、木材は材質そのものが柔らかい上に、一本一本が細く、アーチ状に加工することも困難です。石と同じ組み方をしたとしても、必要な強度は得られません。そこで考案されたのが、桁、楔、梁、棟木などの部材を組み合わせた「錦帯橋式アーチ構造」です。

 桁は橋脚からアーチの中央部に向かって、角度をつけながらせり出して重ねます。その角度の変化によって生れる隙間は、楔で埋めます。また、平行に並んだ5本の桁は、梁によって横方向に固定されます。こうして各橋脚からせり出した桁同士は、棟木によって中央部で繋ぎます。加えて、巻金で部材を束ねることにより、強度を高めています。

 この錦帯橋式アーチ構造は、世界に例のない唯一のもの。これにより35.1mという破格に長い径間の木造アーチが実現しています。


中国の安済橋(アーチ式石橋)

※以下の図はアーチ橋の構造を側面から見た図です。

【一】桁(けた)棟木(むなぎ)

 桁は、一番桁から十一番桁へと、角度をつけながらせり出し、巻金で束ねています。中央部までせり出した桁は、大小二つの「棟木」によって、向かいの部材と接合されています。

【二】楔(くさび)

 楔は、上下の桁材の角度の変化によってできた隙間を埋めるV字形の部材で、桁と一緒に巻金で束ねています。

【三】梁(はり)

 梁は、等間隔に配列された5本の桁を横方向に固定しています。これによって、桁が平行に走る規則的な美しい構造が実現しています。