美しさ

どの時代にあっても

世界的にも著名な浮世絵師、葛飾北斎や歌川広重をはじめ、多くの絵師が錦帯橋を描いています。
また、薩摩藩から徳川将軍家へ嫁いだ篤姫は、江戸へ上る途中、わざわざ回り道をして、錦帯橋を訪れました。橋を渡るには、事前に許可を得る必要がありましたが、なかなか許可が下りなかったため、押しかけて橋を渡ったと記録されています。
創建から約350年、どの時代にあっても、錦帯橋の美しさは、芸術家のみならず、多くの人々を魅了してきました。
美しいものをそのまま後世に残したい。人々のこの想いが、錦帯橋をその場所に、同じ姿で留めたといえます。

葛飾北斎
『諸国名橋奇覧 すほうの国きんたいはし』
所蔵/山口県立萩美術館・浦上記念館

歌川広重
『六十余州名所図会・周防岩国錦帯橋』
所蔵/岩国徴古館

二代目歌川広重
『諸国名所百景 周防岩国錦帯橋』
所蔵/個人

美しさ、無限

遠くから愛でるもよし、近づいてみるのもよし、そして、渡ってみるのも、またよし。
錦帯橋には、観る者の位置にも、時節にも捉われない、無限の美が備わります。

アーチのリズム

岩国城から錦帯橋を見下ろすとき、5連のリズミカルな造形美に気付きます。小石を水面に投げたときのように、リズミカルにアーチを描き、観る者をわくわくさせる。そんな「動」の美しさがあります。

自然との調和

錦帯橋を遠くから眺めると、豊かな自然に囲まれていることに気付きます。自然林が残る城山を背景に、景観に配慮した街並み、そして、鏡のような錦川。錦帯橋はまるで自然の一部のようです。

石と木

どっしりした石積みの橋脚の上に、翼のような木のアーチ。その重厚感と軽快さのコントラストは、錦帯橋ならではの美しさです。そして安定感のある佇まいは、観る者の気持ちを落ち着かせます。

シンプルと複雑

アーチ橋の上部は平坦でシンプルなのに対して、アーチ橋を下から見上げたときの姿は、驚くほど複雑。桁、梁などが一定の規則性を保ちながら、入り組む様は、とても美しいものです。